「入試」という虚構

(根拠なき出題内容・形式変更)
 以上から、多くの大学が年度によって、出題構成や内容を大きく変えていることに根拠や目的があるわけではないことが分かる。

 例えば、東京大学は英作文における自由英作文の比重が上がり、自由英作文のみが出題されることはあっても、和文英訳のみということはなくなった。

 京都大学では国語で2002年度まで出題されていた文語文が以後消えた。また2007年度から約20年ぶりに漢字の書き取りが出題されたが、2017年度以降再び出題がなくなった。英語で医学部医学科(2006年度から)及び総合人間学部(2007年度から)でリスニング試験が課せられていたが、2012年度を最後に以後は出題されていない。

 これらは過去問で出題傾向を調べ、対策に余念がない受験生にとって大きな変更であるのに、それがどのような意図、どのような大学内の教育・カリキュラムの変更に対応したものであったのか、どこにも関連する情報は見当たらない。また、これらの変更によって入学者の学力・資質や入学後の育成度にどのような変化が生じたのか等に関する具体的統計も見当たらない。

 結果、受験生は突然の出題に戸惑い・混乱することとなり、受験予備校には「新たな傾向と対策」として利用する途を与えることになっている。

(入試依存からの脱却=エドミストンの法則) 
 これまでの考察から、現在の入試が、各大学が行う教育・研究に相応しい人材を獲得するための有効な手段となっているとは言えないことは明らかだろう。それでも、これまでは定員を超える応募があったので、その中から高得点者を選び出す手段として(だけの)入試が行われ、それを経た者を優秀と見なすことが続けられてきた。

 ところが、18歳人口が急減する一方で、国際的な大学間での学生競争が激化していること、さらには、コロナ禍が推し進めたオンライン授業の普及により海外の大学での授業が容易に視聴できるようになり、進学先の選択肢が広がったことなどから、従来とは大きく異なる状況が生まれつつあり、従来の在り方では各大学が生き延びていくことには限界がくることは明白だ。その際、入試に止まらず入学者選抜全体の在り方を考え直すことが求められるのは避けられない。

 我が国の大学制度が米国のそれを参考にしていることは良く知られているが、その米国では大学が独自の入試を課すことはない。代わりにACTやSATといった全米統一試験結果と高校4年間の成績(GPA)、エッセイ等が求められる。ここには、我が国のように一発型の試験で合格者を判定するのとは全く異なった考え方がある。

それは、

 「大学は当該学生が自校の授業を理解し、研究を実施する力を持ち、それらを通じて在学中に成長・発展する十分な資質・可能性があるかを判定するため、当該学生の<過去・現在・未来>、
 即ち、
 ㋑高校段階の成績・活動を通じた学習や活動等への姿勢・実績、
 ㋺共通(標準)テスト結果による高校卒業段階での基礎的学力の有無、
 ㋩エッセイやインタビューによる志望動機や学習意欲・適性等の確認、
を根拠にして総合的に判定すべき」

というものである。この「エドミストンの3原則」と言われる方針に照らすと、我が国の入学者選考は㋺のみであり、しかもそれは米国のように基礎的学力を全国レベルで確認するのが目的ではなく、高等教育機関である大学が高校教育の習得度を自ら判定しているという、極めて奇異なものであることが分かる。

 それだけ入試に対する信頼・信仰が厚いということなのだろうが、そのことが逆に高等学校での学習・活動状況の軽視につながっていることを忘れてはならない。鳴り物入りで開始したe-portfolioが廃止に追い込まれたことはその実証例としてまだ記憶に新しい。

 また、一発型入試の依存度の高さは当然、受験生にとっても試験対策が何よりも重要だという意識を生み、塾や予備校に行くことが当然となる。米国で重視されている学校外活動などに費やす時間などないのは当然だ。赤本等で過去問を確認し、他大学との差別化を図るため「勝手に」設定した設問形式や傾向を知ることで、1点でも多く得点したいという心理に煽られるばかりだ。

 加えて、予備校がない、予備校に行けない地域・家庭の生徒との不平等・格差を生むことにもなる。こうして、専門教育を受ける基礎として不可欠な教科を修得もせず、文化活動やボランティア等校外活動に従事することもなく、志望理由も明確でない「優秀な」合格者を生んでいるのが我が国なのだ。

(今後の対応)
 国立大学法人はその経費の大半が国費によって賄われており、しかもそれは大学に進学する子どもをもっているか否かとは関係なく、全ての国民が負担する税金によって成り立っていることを強く認識し、真に意義ある取り組みこそをすべきであろう。その意味で、多くの受験生に不毛な努力を強いている、現行入試の見直しをすることは急務ではないか。

 仮に、入試結果を合否判定の唯一の主要な判断材料とする、現行の仕組みを続けるという判断をするのであれば、それに相応しい透明性を確保することが不可欠であろう。何故、この大学では、他大学とは違う学力・能力を把握したがるのか、それは具体的にどのようなもので、それと独自の出題形式や設問がどう関係するのか等を、(APやCPと関連づけつつ)明確にすべきだ。

 しかし、このような「高校卒業時」の学力判定ばかりに努力を重ねるより、「真に」優秀な学生の獲得に向けて、入学者選抜全体を「エドミストンの3原則」に基づき、改めるよう努めるのがあるべき姿ではないか。

 なるほど、誰を入学者にするかの決定は学長が決定するものとされている。従って、一発型の入試だけで実質入学者を決めることを今後も続けていくという判断・対応をする大学があっても良いだろう。

 しかし、その場合は外部にその旨を明確に公表することが肝要であることは、医学部での合否判定で女子学生や浪人生に対して不利な判定を内部で秘密裡に行っていたことが大きな問題となったことを想起すれば良い。

 趣旨・目的も不明な独自の問題を出題することで、この対策に終われた生徒の方が、当該大学の特色の把握や、そこでの教育・研究への意欲・関心醸成に努めた生徒よりも優先されるというおかしな状況が早く改善されることを願う次第だ。

(文科省の責任)
 本稿では、各大学が独自に実施している入試について、それがAP等と関連がないことを検証した。AP等の策定・公表は法律に規定された事項であり、各大学はこれに従った対応をした。結果として、どこのHPでも関連の項目・記載を見つけることができる。しかし、その実態はこれまで見た通りである。果たして、法制化を行った文科省は具体的内容・記述を把握しているのか。実態が伴わない取り組みほど迷惑なことはない。単に形式が整うだけで良しとされる程度の事柄ならやらない方がましだ。

 冒頭で、受験生は赤本等で各大学独自の出題形式や傾向を調べ、過去問を確認することに余念がないことを述べたが、要は、受験生にとっては、それが何のために行われているのか分からないまま、出題されるから仕方なく出題傾向の分析や過去問対策に取り組んでいるに過ぎない。

 これはまさに、他より1点でも多くとるための対策であり、文科省が再三訴えている、「1点刻みの合否判定がもたらす弊」を生んでいる根幹そのものではないか。審議会等で入試改革が再三議論されるが、この点に何も手を付けずに、形式的に問題の是正を訴えるだけで済ませているのは怠慢であり、非難されて余りある。

 受験生のため、大学の3ポリシーの具体化・実質化による教育機能の改善のため、早急な対応が行われることを切望する。

(補足:国立と私立の解答形式の差)
 本稿は国立大学における二次試験を中心に検討を進めた。それは記述式が中心であり、選択式が中心の私立大学のそれとは大きく異なる。

 これを当然のように受け止めているが、この差が双方の教育内容・水準の差に対応しているのか問われたことはない。そのような違いなどないことはこれまで見てきたことから明らかである。

 また、なぜ国立で選択式を、私立で記述式をもっと採用しないのか。記述式と選択式とでは、判定できる能力・水準がどう異なるのか。こうした本質的な論点・疑問が一切解明せずに表向きは入試改革を唱えているのだから滑稽としか言えない。

 その一方で、志願者減により入学検定料収入が減少したとか、予備校に問題作成を依頼するということが話題になる。ここにも受験生無視・不在の実態が垣間見られる。

 このような中、今般、都内の主要私大の経済系学部で新たに数学を課すことになった。数学は入学後に必要であり、この基礎的学力を保有している者を選抜するためという明確な意図による対応であり、これこそあるべき姿である。マスコミも含めて賞賛すべきであるのに、入試科目・負担増で応募者が減ったことや、ライバル校とされる他大学との人気ランキングの推移ばかりが取り上げられる。これで本当に優秀な人材育成・確保を目指すつもりがあるのか、と問いたい。

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(参考:なかなか目にすることもない、東大及び京大のAP等を抜粋する)

東京大学:APの中の「期待する学生像」

 東京大学は、このような教育理念に共鳴し、強い意欲をもって学ぼうとする志の高い皆さんを、日本のみならず世界の各地から積極的に受け入れたいと考えています。東京大学が求めているのは、本学の教育研究環境を積極的に最大限活用して、自ら主体的に学び、各分野で創造的役割を果たす人間へと成長していこうとする意志を持った学生です。何よりもまず大切なのは、上に述べたような本学の使命や教育理念への共感と、本学における学びに対する旺盛な興味や関心、そして、その学びを通じた人間的成長への強い意欲です。そうした意味で、入学試験の得点だけを意識した、視野の狭い受験勉強のみに意を注ぐ人よりも、学校の授業の内外で、自らの興味・関心を活かして幅広く学び、その過程で見いだされるに違いない諸問題を関連づける広い視野、あるいは自らの問題意識を掘り下げて追及するための深い洞察力を真剣に獲得しようとする人を東京大学は歓迎します。

とし、この後に「入学試験の基本方針」として

 (したがって、)東京大学の入学試験は、どの問題であれ、高等学校できちんと学び、身につけた力をもってすれば、決してハードルの高いものではありません。期待する学生を選抜するために実施される本学の学部入学試験は、以下の三つの基本方針に支えられています。
 第一に、試験問題の内容は、高等学校教育段階において達成を目指すものと軌を一にしています。
 第二に、入学後の教養教育に十分に対応できる資質として、文系・理系にとわれず幅広く学習し、国際的な広い視野と外国語によるコミュニケーション能力を備えていることを重視します。そのため、文科各類の受験者にも理系の基礎知識や能力を求め、理科各類の受験者にも文系の基礎知識や能力を求めるほか、いずれの各類の受験者についても、外国語の基礎的な能力を要求します。
 第三に、知識を詰め込むことよりも、持っている知識を関連づけて解を説く能力の高さを重視します。
 東京大学は、志望する皆さんが以上のことを念頭に、高等学校までの教育からできるだけ多くのことを、できるだけ学ぶよう期待します。

 また、関連情報として「高等学校段階までの学習で身につけてほしいこと」を記載しているが、このうち、本論で取り上げている国語と英語を抜粋する。

 東京大学を志望する皆さんには,アドミッション・ポリシーにも明示されているように,本学に入学するまでに,できるだけ多くのことを,できるだけ深く学んでほしいと思います。以下,本学を受験しようと考えている皆さんに向けて,高等学校段階までの学習において,特に留意してほしいことを教科別に掲げます。

【国語】
 国語の入試問題は,「自国の歴史や文化に深い理解を示す」人材の育成という東京大学の教育理念に基づいて,高等学校までに培った国語の総合力を測ることを目的とし,文系・理系を問わず,現代文・古文・漢文という三分野すべてから出題されます。本学の教育・研究のすべてにわたって国語の能力が基盤となっていることは言をまちませんが,特に古典を必須としているのは,日本文化の歴史的形成への自覚を促し,真の教養を涵養するには古典が不可欠であると考えるからです。このような観点から,問題文は論旨明快でありつつ,滋味深い,品格ある文章を厳選しています。学生が高等学校までの学習によって習得したものを基盤にしつつ,それに留まらず,自己の体験総体を媒介に考えることを求めているからです。本学に入学しようとする皆さんは,総合的な国語力を養うよう心掛けてください。
 総合的な国語力の中心となるのは
 1) 文章を筋道立てて読みとる読解力
 2) それを正しく明確な日本語によって表す表現力
の二つであり,出題に当たっては,基本的な知識の習得は要求するものの,それは高等学校までの教育課程の範囲を出るものではなく,むしろ,それ以上に,自らの体験に基づいた主体的な国語の運用能力を重視します。
そのため,設問への解答は原則としてすべて記述式となっています。さらに,ある程度の長文によってまとめる能力を問う問題を必ず設けているのも,選択式の設問では測りがたい,国語による豊かな表現力を備えていることを期待するためです。

【英語】
 人間は「ことば」なしでは生きていけません。誰もが「ことば」で考え,相手の感情を知り,自分の思考を相手に伝えます。「世界的視野をもった市民的エリート」を育てることを使命とする東京大学は,教養教育(リベラル・アーツ教育)を重視しており,そのため,入試問題においては,多くの外国語による受験に門戸を開いています。具体的には,英語のほか,ドイツ語,フランス語,中国語等による受験が可能です。共通して求める能力をまとめるとすれば,「外国語による理解力と表現力」ということに尽きます。
 いずれの外国語についても,本学で学ぼうとする皆さんは,高等学校までの教育課程の範囲内で,それぞれの言語によるコミュニケーションに必要とされる理解力と表現力を備えていることが期待されますので,その言語についての正確な知識に裏打ちされた論理的な思考力の養成に努めてください。外国語文の和訳,和文の外国語訳,文法的知識を問う問題は言うまでもなく,ときにその言語の背景にある社会・文化への理解を要求する問題が出題されるのも,そうした努力の成果を見るためです。
 以下,外国語として選択されることの最も多い英語について若干付言します。現代社会において,市民的エリートとしての責任を果たそうとすれば,英語力が重要な要素であることは明らかでしょう。ここで求められる英語力は,具体的には3点にまとめられます。
 1) 英語による受信力
   知的内容のあるコミュニケーションが交わされる場において,相手側の英語による発信を正しく理解する能力が必要不可欠
  であることは言うまでもないでしょう。読解・聴解を含めた受信力を問う問題が出題されるのはそのためです。
 2) 英語による発信力
   同様の場において,自分の述べたいことを正しく英語で表現できる発信力が不可欠なこともまた明らかです。英作文の問題
  が出されるのはこのためであり,現在,「話す」能力の試験を課すことができないのはもっぱら技術的な理由によります。 
 3) 批判的な思考力
   上記2点の能力を発揮し,健全なコミュニケーションを達成するためには,例えば常に何が「正しい」のかを問うような想
  像力豊かな批判的視点がなければなりません。それがなければコミュニケーションの場には誤解と曲解が渦巻くことになりま
  す。
 こうした英語力を身につけるためには,発音・語彙・文法構造などの細部の把握と,論理構成の理解や文化的背景についての知識に裏打ちされた大局的な把握との両面での訓練が必要であり,教養教育ではそうした英語教育を目指しています。そのため,本学を志望する皆さんには,高等学校学習指導要領の範囲内で,そうした英語カリキュラムに対応できる能力を身につけるように特に意識して,学習を進めてほしいと思います。

 京都大学:(全学共通の)学士課程APとして次を掲げている。

 京都大学は、日本の文化、学術が育まれてきた京都の地に創設された国立の総合大学として、社会の各方面で活躍する人材を数多く養成してきました。創立から1世紀以上を経た21世紀の今日も、建学以来の「自由の学風」と学術の伝統を大切にしながら、教育、研究活動をおこなっています。
 京都大学は、教育に関する基本理念として、「対話を根幹として自学自習」を掲げています。京都大学の目指す教育は、学生が教員から高度の知識や技術を習得しつつ、同時に周囲の多くの人々とともに研鑽を積みながら、主体的に学問を深めることができるように教え育てることです。なぜなら、自らの努力で得た知見こそが、次の学術展開につながる大きな力となるからです。このため、京都大学は、学生諸君に、大学に集う教職員、学生、留学生など多くの人々との交流を通じて、自ら学び、自ら幅広く課題を探求し、解決への道を切り拓く能力を養うことを期待するとともに、その努力を強く支援します。このような方針のもと、優れた学知を継承し創造的な精神を養い育てる教育を実践するため、自ら積極的に取り組む主体性をもった人を求めています。
 京都大学は、その高度で独創的な研究により世界によく知られています。そうした研究は共通して、多様な世界観・自然観・人間観に基づき、自由な発想から生まれたものであると同時に、学問の基礎を大切にする研究、ないし基礎そのものを極める研究であります。優れた研究は必ず確固たる基礎的学識の上に成り立っています。
 京都大学が入学を希望する者に求めるものは、以下に掲げる基礎的な学力です。
  1.高等学校の教育課程の教科・科目の修得により培われる分析力と俯瞰力
  2.高等学校の教育課程の教科・科目で修得した内容を活用する力
  3.外国語運用能力を含むコミュニケーションに関する力
 このような基礎的な学力があってはじめて、入学者は、京都大学が理念として掲げる「自学自習」の教育を通じ、自らの自由な発想を生かしたより高度な学びへ進むことが可能となります。
 京都大学は、本学の学風と理念を理解して、意欲と主体性をもって勉学に励むことのできる人を国内外から広く受け入れます。
 受入れにおいては、各学部の理念と教育目的に応じて、その必要とするところにしたがい、入学者を選抜します。一般入試では、教科・科目等を定めて、大学入試センター試験と個別学力検査の結果を用いて基礎学力を評価します。特色入試では、書類審査と各学部が定める方法により、高等学校での学修における行動や成果、個々の学部・学科の教育を受けるにふさわしい能力と志を評価します。

また、「京都大学の学力検査の出題方針について」として、以下を明示している。

  京都大学が入学者を選抜するため実施する個別学力検査の出題教科・科目は,高等学校学習指導要領による教育課程にしたがって学ぶ教科と科目に対応しています。出題教科・科目における出題範囲と学習指導要領上の教科・科目の関係は次の表(略)のとおりです。
  京都大学の学部(医学部の場合,学科)は,それぞれの入学者受入方針(アドミッション・ポリシー)に基づいて学力検査の内容を定めています。京都大学が実施する学力検査は,知識の活用から思考力と表現力まで,受験者に備わった学習能力を評価します。
 この「出題方針」は,高等学校段階までにどのような学習能力と学習態度を培うことを求めているのか,また,そうした能力と態度をどのような基準により評価しようとしているのかを示すものです。
 高等学校の教育課程は,国語,地理歴史,数学,理科,外国語だけからなるものではありません。京都大学が入学志願者に求めている学習能力は,高等学校の教育課程全般を通じて培われてくるものです。
 こうして出題方針を示すことが,京都大学の入学志願者が受ける学力検査を理解するために役立つことを期待しています。
 Ⅰ.国語の出題方針
   日本語の文章の論理や論旨,あるいは作者の心情や表現の意図を,的確に理解し,自らの言葉で論理的にその理解を表現で 
 きることを評価します。そのため,文章のジャンルとして論説文,随筆,小説など,さらに文体についても明治擬古文まで含
 め,幅広く問題文を選び,漢字の書き取りや,文章表現の持つ意味,あるいは論理展開の説明をはじめとして,登場人物の言動
 に託された著者の意図,さらには問題文全体の論旨を問うなど,論述の形式で問題を課します。
   古典文法についての正確な理解を持つとともに,古典の修辞などの基礎知識をもち,的確に古文及び漢文の文章を理解でき
 ると同時に,原文を現代語訳できることを評価します。そのため,物語や歴史,随筆,日記をはじめとして,ジャンルや時代を
 限らず,幅広く問題文を選び,語句や修辞の説明,文章の現代語訳,さらに登場人物の言動の理解から問題文全体の論旨に至る
 まで,さまざまな形式で論述問題を課します。
  「国語」は,国語(文系)と国語(理系)と区分をして出題します。この二つの間で,学習指導要領の国語科の科目からみて
 出題の範囲に変わりはありませんが,出題される問題が異なることがあります。
  (略)  
 Ⅴ.外国語の出題方針
   外国語については,英語,ドイツ語,フランス語,中国語を出題します。
   入学志願者には,外国語で書かれた情報を正確に理解するだけでなく,自らの主張や意見を,外国語を使って発信する能力
  を培うことを求めます。学力検査では,出題する個々の言語についての基礎的な学力とその応用力を評価の対象とします。以
  下,英語を例として出題の方針を説明します。
   個別学力検査「英語」では,ただ単に英語を話すだけではなく,英語で書かれた論文や学術的な内容の記事を正しく理解
  し,その内容を的確にまとめ,それに対する自己の見解を効果的に表現するという,高い英語コミュニケーション能力を身に
  つける上での基礎的な学力とその応用力を問います。この高い英語コミュニケーション能力は,しっかりした語彙力や慣用表
  現の知識,構文や文法の理解などを基盤としてようやく実現されるものです。
   このような基礎的な学力とその応用力を問うために,まとまった内容の英文和訳や和文英訳を求める問題を多用します。語
  彙知識を問うことに加えて,文法事項のうちでも特に論理的な思考と表現に欠かせない関係代名詞や関係副詞,仮定法,分詞
  構文などの理解力や,代名詞の指示対象の的確な理解力を問います。未学習の語句の意味を前後の文脈から正しく推測して,
  文章全体の主旨を速やかに把握する能力も問います。このような出題を通して,単なる訳出ではなく,包括的な英語の理解力
  と表現力を重視して評価します。

(CPとの関係)
東大では理学部がカリキュラム・ポリシーを整理・公表している

 東京大学理学部は上記学位授与方針を達成する学生を輩出するために、以下の方針に基づいて教育課程を編成・実施する。

  •  各専門分野の基礎知識を体系的に身につけるとともに、狭い分野の知識に偏ることなく柔軟な発想ができる人材を育成する。
  •  講義のみでなく、個別教育・少人数授業・セミナー等を通じて教員と主体的に議論・討論する機会を設けることで、学生に真に創造的な学問の方法論を学ばせる。
  • 理学の教育・研究では理論と実験・観測・野外調査は不可分である。後者を通じて学生が自ら自然に問いかけ、思索することの重要さを学ばせる。
  •  各学科の必修科目に加えて選択必修科目と選択科目を設け、学生が主体的に専門的知識を高める環境を整える。
  •  他学科や他学部の授業科目も学修できる機会を設け、学生が各分野の専門的知識に加え、さまざまな自然科学の分野に関する幅広い知識をもつ環境を整える。
  •  科学英語の授業を通じて、英語によるコミュニケーション能力と国際感覚を涵養する。
  •  留学生を積極的に受け入れ、グローバルサイエンスコースのカリキュラムを充実させて、国際的視野と行動力をもった人材を育成する。
  •  研究倫理の講義を通じて、高い研究倫理観をもつ人材を育成する。
  •  成績評価は試験や、レポートの成績・出席状況などに基づき、各授業において学修達成度を適切に反映する基準を定め成績評価を行う。

京都大学は全学CPとして

 京都大学では、以下に掲げる観点を踏まえながら、各学部・学科等のディプロマ・ポリシーを達成するために、どのような教育課程を編成し、どのような教育内容・方法を実施し、学修成果をどのように評価するのかを個別に定めています。
 1.豊かな知性と人間性を育む教養教育を実施し、新たな知の創造につながる専門教育を積み上げ、社会の各方面で指導的な役
 割を果たしう
る人材を育成する。
2.多様でかつ調和のとれた教養教育を実施し、高度な教養と豊かな人間性、強固な責任感と高い倫理性を得させる。
3.高等学校教育からの連続性に留意した基礎教育を実施する。その上に専門的知識を修得させ、総合的判断力の基礎となる知力
 を確実に育
成するとともに、最先端の研究の場での積極的な活動を通じて専門的知識を深化させる。
4.地域社会、そして全地球的な環境において指導的な活躍ができるよう、その基礎となる国際的視野や異文化理解能力、そして
 コミュニケーシ
ョン能力を養わせる。
5.社会の変化に際しても自主的、積極的に対応できる能力を獲得させるため、対話を根幹とした自学自習の姿勢を効果的に修得
 させる。

 

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