入学後の衝撃

 高校卒業後に進学したのは都内の私立大学だった。当然のことながら、当時はまだ我が国の(大学)教育について特段の認識があるわけではなかったのだが、入学後間もなくそれが大きく変わることになった。

 この大学は日本を代表する私立大学のうちの一校として、受験生の人気も高く、志願者が常に十数万人を超えるほどだった。これを奇貨として募集定員の数倍の合格者・入学者を出していたため、結果的に授業は講堂のような大教室で一方的に行われる講義ばかりであり、しかも、登録だけして受講しない者が多いので空席が目立つ有様で、緊張感に欠けるものが多かった。現状に対してこのような消極的な印象をもつに至ったのも、驚きかつ失望させられた経験をした影響が大きい。

 入学後、授業が本格的に始まるまでの間に、自分が履修を希望する科目を登録しなければならないのはどの大学でも同様だろう。そこで、まだ向学心に燃えていたこともあり、また、新しく始まる学生生活への期待に胸を膨らませていたので、履修要綱等を参考に各科目を慎重に選定し、自分なりに理想のカリキュラムを作り上げた。新しく始まる学生生活への期待はいやが上にも高まっていた。

 ところが、これらの科目を自動的に登録できるわけではない。定員以上の学生が入学しているため、登録希望をそのまま認めていては定員をオーバーする科目が生じるので、そこでは調整が必要となる。要は抽選なのだが、新入生が一堂に集められ、希望科目の登録の可否を判定するのだ。

 あろうことか、自分の場合は登録希望をした選択科目がほぼ全て半が抽選対象となった。それだけ人気の科目群だったのだろうが、果たして結果は全敗であった。登録可能者(番号)が呼ばれる多くの科目ではことごとく選に漏れたのみならず、登録希望者と定員の差が比較的少ないため、登録できない者が呼ばれる科目にあっては見事に「当選」した。目の前の光景が信じられなかった。

 しかも、抽選に外れた場合、代わりの科目をその場で選び直し、再登録しなければならない。事前に調べた科目とは異なり、初めて目にするものも多いが、時間の猶予はない。ともかく、内容よりも履修要件にあった区分に該当することだけを留意して選んでいく。こうして何とか必要とされる科目・単位だけは満たすカリキュラムを作り上げた。それが事前に苦労して作った理想のものとは程遠いことは言うまでもない。

 これでも向学の志を持ち続けろ、と言う方が無理だろう。この後、しばらくは講義に出席することもほとんどなく、課外の活動(という名目の遊興)に耽ることになったが、それは自分が悪いのではなく、大学のせいだと責任転嫁して済ませていた。これには今でも深く恥じ、反省している。

 一方で、このことが大学における教育に対する強い不信感を抱かせ、これを改善する必要があると痛感させる契機となったことは間違いない。

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