学校週五日制は平成4年9月から月1回、平成7年4月から月2回を経て、平成14年4月から現在のような完全な形で実施されている。その目的は従来の詰め込み型の教育を改めて、「子どもたちの家庭や地域社会で」の生活時間の比重を高めて、主体的に使える時間を増やし、<ゆとり>の中で生活体験や自然体験、社会体験、文化・スポーツ活動など、様々な活動や経験をする機会を増やすために導入したもの」であるとされており、これは文科省のHPの「学校週5日制Q&A」に現在でも掲載されている。また、五日制実施後に改訂された学習指導要領(平成20(2008)年及び令和元(2020)年)はともに改訂のポイントとして「体験活動の充実」を掲げている。
そこで尋ねたいが、完全実施からも20年間が経過する中で、子どもたちが生活体験や自然体験、社会体験、文化・スポーツ活動をする機会はそれぞれどの程度増えたのか。具体的な数値を示して説明願いたい。
今や、学校現場のみならず社会全体で当たり前のように実施されている学校五日制だが、それは明確な教育上の目的を達成するために導入されたものであった。
ところが、その目的がどの程度達成されたのかが一向に確認されずにいる。教育行政によく見られる「やりっ放し」の例をここにも見ることができる。
しかし、この質問い対して「調査をしていないので分からない」と、20年間も満足な統計・確認もせずに漫然と実施してきたことを認める訳にはいかないので、代わりに、
「その後の学習指導要領で体験学習の重要性を明記した」 や
「子ども達を対象とした文化・スポーツ活動充実のための事業を充実した」
と言うような論点をずらした答弁でお茶を濁そうとするだろう。しかし、それで済ませてはいけない。
そこで、改めて次を問おう。
知りたいのは「様々な活動や経験をする機会を増やす」という、文科省自身が掲げている学校週五日制実施の目的がどの程度達成されたのかについての具体的数値である。(HPにも記載していない)当初の設定とは別の目的や活動を答えてもらう必要はない。
もし、明確な数値がないのなら、「数値はない(調べていない)」とはっきり答えてほしい。
このようにはっきりと確認しても「状況把握はしていない」「数値はない」と認めることはないだろう。
なお、文科省所管の独立行政法人である青少年教育振興機構は「青少年の体験活動等に対する意識調査」を数回実施し、その中で自然体験や生活体験等が豊富な者ほど自律的生活習慣が身についているという結果を明らかにして、体験活動の意義・重要性を訴えているので、本問へはその内容を答えるかもしれないが、体験学習の重要性は当然のこととして認めた上で、尋ねているのはその重要な場がどれだけ増えているかであるので論点をはき違えて安易に納得してはいけない。
このような不毛なやり取りが行われることを想定して、次の質問に移る前に、無作為ぶりを一層明らかにする質問として、次を問うのも効果的だろう。
(学校五日制が目的としていた活動や体験の機会が増えているかに明確な答えが得られないが)
それでは機会の増減についてではなく、五日制によって土曜日の利用の仕方にどのような変化があったのか、何が増えて、何が減っているのかについて、これも印象や期待ではなく具体の数値を挙げて全国(県)的な状況を答えて欲しい。
実態を何も調べていないのだから、この問いにも何も答えられるはずはないのは明らかだ。そして、やはり「承知・把握していません」と述べるのを避けるために、
「五日制は定着し、(当初想定しなかったものも含め)様々な活動が行われるようになった」
「アンケート等では五日制に肯定的な意見が大勢だ」
等の論点をズラした答を行うか、一部の自治体等で実施されている活動を例示しそれがあたかも全国(県)的な状況であるかのように説明して済まそうとするだろう。
他方、現状を問うだけでなく、そもそも本制度が目指したのはどのような状況なのかを確認することは意義があることから、次を問うことは大事だ。
「生活体験や自然体験、社会体験、文化・スポーツ活動など、様々な活動や経験をする機会」の現状が不明であることが判明したが、その一方、教育をめぐる現下の問題を解消するためにはこの制度を通じて「いつまでに」「どの程度」まで様々な活動や経験をする機会を増やすことを目標にしていたのか。
これだけ大きな制度を導入しておきながら、実態の把握が行われていないことだけでも驚くべきことだが、それ以前に、この制度が教育をめぐる現下の問題(詰め込み教育等)を改善するために導入されたものとして、それが最低限、どのような状況になることを目指していたのか、本制度を「いつまで」「どこまで」実施するつもりでいなのかについて、何も想定していないことが本問を通じて明らかになることには呆れるだろう。
ここまでの質疑を通じて明らかになった結果を踏まえて事業の意義について根本的な質問を行う。
先ほどからの質問に対して、質問趣旨とは違う、あいまいな答えしかないのは遺憾だ。
いずれにしろ、明確な目的を掲げて、それを達成する「手段」として実施された学校週五日制でありながら、その達成状況はもとより、休業となった土曜日の過ごし方の実態さえ把握しておらず、さらにはこの制度を通じて達成を目指す目標さえ明確でないことは驚きだ。
これでは、学校週五日制が手段として有効なのか不明だ。これを続ける意味はあると言えるのか。
既に20年近く実施され、既に常識と化したとさえ言える学校週五日制を、調査の不備を理由に廃止することはできないのは当然だ。従って、回答も
「20年に渡って実施されており、学校現場にも定着している」
「(明確な根拠を示さないで)五日制に評価する声が多い」
等の、本来の趣旨とはかけ離れた既成事実を盾にしてその継続を訴えることになるだろう。
このような「長年に渡って実施されているから」という理由で行われ続けているのは看過できない。この点を明確に指摘し、学校五日制をあるべき姿へと修正していくよう求めることが一連の質問の趣旨である。本来の目的が蔑ろにされたまま、形式的に実施されているため、安易に土曜日の授業を再開したり、学校がない代わりに塾等に行く日になったりしているのだ。
一連の質問を契機に、しっかりと体験等の機会の実態が調査され、その増に向けた取り組みが進むことを期待したい。
また、本問に対しては、学校週五日制を実施・継続する明確な意義・必要性について説得力ある回答をすることはできないことから、論点を変えて、当初の目的とは別の副次的な効果、例えば教師の働き方改革の一環としての意義をもつことを挙げて、五日制に新たな意義があることを述べることが予想される。
その場合には、次を指摘しよう。
教員の働き方改革にも資するというが、問うているのは子どもたちへの教育上の影響・効果の面からの有効性であるのに、これでは本末転倒ではないか。
文科省の言葉を使えば「子ども達が自ら学び自ら考える力や豊かな人間性などの<生きる力>をはぐくむ」のに役立っているのかという、教育上の効果という点から改めて回答願いたい。
このように述べて議論を戻し、現在の学校五日制は当の文科省自身が実施する意義を見出せない中で漫然と実施されているものであることを改めて明らかにすることになる。
一方、本問の前に、次の確認をして、教師に対する効果という説明が苦し紛れのものであること、単にその場しのぎの回答に過ぎないことを指摘し、そのような不誠実な対応は認めないという姿勢を示しておくことは今後の質疑に向けて重要だ。
教師の働き方改革にも資するという説明だったが、果たして教師は休業土曜日に休みを取れているのか。授業はなくても様々な業務に従事しているのではないか。土曜日に休暇を取っている教師がどれ程いるのかの実態を把握し、その上での回答なのか。もし、調査しているのであればその結果・改善状況を示して欲しい。
逆に調べていないのにあのような答弁が行われたのなら大問題であり、こういう態度が「#教師のバトン」の炎上を招いたと思うが、それでも学校週五日制が教師の働き方改革に効果があったとなぜ言えるのか。
学校週五日制については実施当初から、教員に一般労働者同様の週休二日制を適用することが主目的(それまでは土曜に勤務(授業)があったため、夏期に当該日数分を「まとめ取り」させていたのを改善)であり、教育上の目的・効果は二の次であったということが指摘されていた。教育を司る文科省としてはそれを認める訳にはいかず、あくまでも教育上の目的・効果を前面に出してきたが、それが画餅に過ぎないことが露見したことになる。
この点(施策の羊頭狗肉ぶり)を引き続き問い質しても良いが実益に乏しいので、それは指摘するだけに止め、むしろここでも見られるように、実態把握・根拠もないまま表面的な理由で意義を訴える態度が様々な施策で見られるという実態をはっきりとさせるために、この問いに関連して以下を指摘するのは意義あることだろう。
今の答弁では、教員に対する効果が(も?)あるということなのだろうが、これは学校五日制の主目的なのか。もし副次的目的・効果というのであるなら、そうはっきりと述べて頂き、改めて五日制を継続する主要な意義・目的を説明願いたい。
逆にこれが主要な目的であるというのであれば、それはいつ、どういう手続きを経て設定されたのか。また、HPには先ほど紹介した記述しか見当たらないが、これはどこに記されているのか?教育関係者は皆このことを知っているのか。
(そもそも実施中の事業・制度の目的を勝手に変えたり、追加したりすることは許されるのか。)
文科省が主導し、実施した制度でありながら、肝心な教育上の意義・効果について状況を調査・確認することもなく、漫然と実施されたままであることが判明したが、ここから派生してもう一つの問題点、事業の目的が不明となっていることを明らかにしていく。
上の質問はその端緒であるが、より本質的な指摘として以下を確認しよう。
なお、この質問中、最後の一文については恣意的な運用に対する懸念を表したものであり、これ自体、大きな論点となるものだが、この点に執着すると議論の焦点がボケる懸念があるので省略することも可能だ。
(そもそも、この指摘に対する回答自体がのらりくらりとした内容に終わる可能性が高く、それを追求するのは時間が無駄になる。なお、この点は最後に改めて問い質すこととする。)
教員に対する効果という面では、学校週五日制は当初から「子どもたちの家庭や地域社会での生活時間の比重を高めること」が必要だとしていた。それが実施されていれば、学校偏重主義が改善され、教員の負担も軽減し、教員の働き改革にも資したはずなのに、そのための努力を講ずることもないまま、教員に効果もあるというような説明を行うのは不誠実極まりない。
これまでの応答を踏まえて、一体、学校週五日制実施により何が、どう変わったと言えるのか、換言すれば学校週五日制実施の目的に沿った効果・成果は何なのかを改めて尋ねたい。
これに関連する質問は(問3)で行っているが、これまでのやり取りを踏まえて上で改めてこの質問・指摘をすることに対して、どのような回答を行うのだろう。
何か効果や成果を示さねば、ただ学校に通う日数が減っただけだと認めることになるので、それは何としても避けたいだろう。かといって、何も調査をしてきておらず、実態も把握していないので、結局、ここも以下のような抽象的な答えでごまかすのが精々ではないか。
「学校週五日制は社会からも認められ、広く浸透して今日に至っている。今ではそれを前提に
活動が企画されたり、日程が設定されたりもしている。それらの状況をお示しする資料は持ち
合わせていないが、このような効果等もあると認識している。その中に学校偏重の是正・教員
負担の軽減というものも含まれるものと考える。」
これでは何も答えになっていないのは明らかだ(優秀な文部官僚・教育委員会事務局員がこちらの予想を超える明快な、具体的答弁をするのかもしれない)が、次の質問に移る。
今の説明では抽象的で答えになっていないが、それが精一杯だと思うのでこれ以上尋ねるのは控える。ただし、1点だけ再度確認しておきたい。
学校週五日制実施の目的としてされていた活動や体験の機会の増というのは引き続き目指すのか、今後は別の目的を掲げ、それを基にして実施するとするのか。
問A5で一度訪ねた質問だが、その際は「制度は定着している」や「教員の働き方改革に資する」といった本質とは離れた回答でかわしていたが、改めて正面から尋ねられればそれも許されず、「従来からの目的<活動や体験の機会の増>を引き続き目指す」と答えることになるのだろうが、それに反する実態があることを指摘しておくべきだろう。
学校週五日制の充実・目的の達成に努めたいとのことだが、そもそもこれは学校に「ゆとり」をもたらそうという教育理念に基づき実施されたはずである。ところが、その後、ゆとり教育批判が起こると、文科省は方針を転換し、教育量・授業時数の増を行ったにも拘らず、学校週五日制は継続実施している。そこで、せっかくの土曜日に安易に授業が実施されたり、学校がないからと塾等へ行かせたりするという当初の理念の逆の事態を生んでいる。
そこで尋ねたいが、ゆとり教育批判後に継続実施されている学校週五日制は当初とは違う目的・理念に基づいているのではないか。それとも同じだと言えるのか。もし、従来の目的に新たに追加された目的に基づくというのであれば、それはいつ、どこで決まり、どう公表されたのか。
このように、一端制度化・実施された後は「やり放し」になっていることため、様々な矛盾が生じていることを指摘しておくことは、他の事業・制度に対する警鐘にもなり有意義である。
なお、この問いに対して「新たな理念」を設定しているとすることはより大きな問題・議論を招くことになることは明らかなので、【問A7-②】でも目的変更の有無・手続きについて確認しているが、目的・理念に変更はないと答弁せざるを得ないだろう。
ついては、
「これからの変化の激しい社会を生きていくために子供たちに自ら学び自ら考える力などの
「<生きる力>を育むことが必要であり、学校五日制はそのために実施しているものであり、そ
の意味では実施の目的・理念に変更はない」
と答えることが予想される。そこで、これが如何に矛盾している説明かを明らかにする。
確かに「生きる力」の育成は学校週五日制の目的とされている。
他方、文科省のHPには「子どもたちの<生きる力>をはぐくむためには、豊かな体験が不可欠です。自然体験などが豊富な子どもほど、道徳観や正義感が身についているという調査結果も出ています」と明確に記載されている。その体験の機会が増えているかを把握していないこと、実際には増えていないことは既に明らかになっており、また、土曜日に体験でなく、授業が実施されるようになっていることを踏まえると、学校週五日制は「生きる力」の育成には役立っていないといえるのであって、説明は全く矛盾しているのではないか。
だからこそ、現在の学校週五日制はどんな理念の下に実施されているのかを尋ねた次第であり、納得のいく説明を願いたい。ここに文章を記載する
この指摘・問題提起にどんな納得のいく答弁・説明が行われるのか不明だし興味があるが、結局は
「学校週五日制が<生きる力>育成のために実施されていることは変わらない。ご指摘の通り
そのための機会の増の状況について十分な結果が出ているわけではないが、当初の目的の実現
に向けて引き続き努力を続けていきたい」
と言った答えをすることで幕引きを図るだろう。
ところが、この「引き続きの努力」に相当額の国費が投入されている(きた)ことを勘案すれば、このような抽象的な答では満足できないことを明確に述べる。
学校週五日制が重要だとの認識や、その充実に努めるとの決意は伺ったが、これまでそれに応じた対応が行われてこなかったことは明らかである。
ところが、毎年多額の予算が体験学習の場の充実に計上されている。今までの応答を踏まえるとこれは意味があるのか。一体、何に使われ、どういう効果があるのか。
このようなことに税金を用いた挙句、家庭の教育費負担が重くなっているというのは本末転倒ではないのか。
これまでの応答から現状は十分に明らかになったので、それらを踏まえて最後に締めの言葉・要望を述べる。
従来の知識偏重型の教育を改め、「生きる力」を育成するための手段として導入された(とされる)学校五日制が当初の目的を果たすことなく、単に授業が実施されない日になっているのは甚だ残念だ。
国(自治体)におかれては、本制度が本来の趣旨に沿って有効に活用されるよう、体験の機会増や学校中心主義の是正の進捗について定期的に把握・公表するとともに、当該結果に応じた適切な対応を講じるよう要望したい。
ここまでは「学力より経験」という、学校五日制本来の趣旨を前提にしたものであったが、実態としては趣旨とは逆に学力向上のために土曜の授業が増えていることを踏まえて、全く別の観点から質問を行うことも必要だ。
すでに【問A8・A9】でその先鞭はつけてはいるが、これらを含めて新たに質問を始めるのも良いだろう。
学校週五日制は平成4年9月から月1回、平成7年4月から月2回を経て、平成14年4月から現在のような完全な形で実施されている。その目的は従来の詰め込み型の教育を改めて、「子どもたちの家庭や地域社会での生活時間の比重を高めて、主体的に使える時間を増やし、<ゆとり>の中で生活体験や自然体験、社会体験、文化・スポーツ活動など、様々な活動や経験をする機会を増やすために導入したもの」であるとされており、これは文科省のHPの「学校週5日制Q&A」に現在でも掲載されている。
ところが、その後の「脱ゆとり」の風潮の中、学力向上の掛け声に伴い、教育量・授業時数の増が行われ、結果、私立学校を中心に多くの学校で土曜日に授業が実施されるようになっている。しかも民間(ベネッセ教育開発センターと朝日新聞社が共同)が行った調査では7割を超える保護者が「完全学校6日制(土曜日の完全復活)」か「隔週学校5日制」を選んでいるとの結果が出ている。
これらを踏まえて尋ねたい。
このような実態にあるにも関わらず、学校五日制の目的は従来と変わらないのか。
【問A1】から【問A12】までは主に、実態把握がないことをメインにしたものだが、以下は、それとは観点を変えて、実態を中心に問うこととしている。
本問前半はこれまでの質問で明らかになったことを繰り返しているが、新たな構成での第1問とする上で敢えて言及しているので、要すれば流れに応じて適宜、省略は可能だ。
さて、導入の本問に対しては「目的に変更はない・有効だ」と言う答が返ってくるだろうから、それを踏まえて次を問う。
学校週五日制の目的に問題・変更はないとのことだが、実態が乖離しているという事実をどうとらえるのか。
そもそも、学校教育法施行規則第61条に公立(小)学校では土曜日は休業日であると規定されているのに対して、同規則第62条で私立(小)学校の休業日は学則で定めることになっている。私立学校の自主性尊重の精神からこのような規定になっていることは理解できるが、結果、私立学校では学校週五日制はほとんど実施されていない。
学校週五日制については、その実施方針を決めた中教審の答申で「学校五日制の趣旨は、国公私立の各学校を通じて異なるものではなく、全国的に統一して実施することが望ましい」と提言しており、その後に出された事務次官通知でも私立学校における学校五日制の実施に向けた指導を促しているが、こうした動きに反する事態が拡大していることは、結果的に公立学校と私立学校の間の授業時数の格差を広げ、それが学力の格差にもつながる可能性がある。これが公立離れを生む要因ともなっているとも思うが、こうした事態をどう認識しているのか。ここに文章を記載する
国であろうと、自治体であろうと役人の考え・対応の基本には「無謬性」があるので、このような実態を前にしてもそれが問題だとは言わず、法律上の規定を盾に
① 「私立学校の休業日は学則で定めることになっている。私立学校での学校週五日制の実施
率が低い状況にあるのは確かだが、制度の趣旨を理解しそれに沿った対応を適切に取るよう
要請を続けていきたい」
という型通りの答弁で済ますことだろう。
又は、敢えて私立学校における学校週五日制の実施率が低いことには触れず、授業時数の格差が学力の格差につながるとの懸念を取り上げて、
② 「学校週五日制の下で私立学校と公立学校との授業時数の差が広がっていることは事実
だが、それが学力の格差につながらないように学力向上に向けた取り組みを進めていきた
い」
という答弁を行うことになるかもしれない。
そこで、これら2種の答弁に応じて次の質問も2通りとなる。
本制度は公立学校だけを対象としたものではないことは、中教審答申や事務次官通知でも明らかにされているにもかかわらず、実態として私立学校では実施されず形骸化している。
学校週五日制の趣旨を踏まえた対応を求めると言うが、法律の規定が各学校の学則で定めるとなっているのに、具体的にはどうするのか。掛け声だけではこれまでと同じ状況が続くだけではないのか。それは結局、学校週五日制の趣旨・目的が蔑ろにしていることに等しいのではないか。
もし、本当に改善に取り組むつもりなら、いつまでに、どこまでするつもりなのか、数値目標を明らかにして示して欲しい。
過去20年間、趣旨の達成状況を調査すらしてきていないのに、今後、新たな対応を行うとは考えられず、とりわけ、私立学校に法律の規定を超えた対応を行うことは無いだろう。
「やります」「努めます」と言う、その場しのぎの答弁で従来通り済ませるのではなく、具体的な数値目標を明らかにさせる必要がある。
土曜日に授業を実施している私立学校と学校週五日制を実施している公立学校との授業時数の差が学力の差を生まないように、公立学校での学力向上の取り組みを進めるということだが、その答弁は逆に学校週五日制の趣旨に反するのではないか。
このように指摘した後で【問A1】以降の質問に移ることも一つの流れであろう。
いずれにしろ、これまでの質問で学校週五日制が教育施策としての意義を省みることなく、ただ漫然と実施されていることが明らかになるが、それを踏まえて、今後の方向性について質していかなければならない。
今や学校週五日制が何のために行われているのか曖昧な状況であり、それは答弁からも明らかだ。
このような中、最近の教育政策は学校週五日制導入当時とは異なって、学力向上が主目的になり、教育内容・授業時数の増が実施されている。この考え・対応の延長には学校週五日制を見直すことも想定される。既に文科省は省内の検討チームが「公立学校の土曜授業を教育委員会の判断で実施しやすくするために省令を改正する」との報告書をまとめている。
このような動きが進んでいることは、学校週五日制の趣旨・目的であった(今でもHPに記載されている)「学校中心主義の是正」「多様な経験・体験の機会の場の確保」は放棄したということか。
無謬性を基本とする役人の発想からすれば、現行制度の趣旨・目的を自ら否定するようなことをするとは考えにくい。他方、これまでのやり取りで実態が趣旨と乖離していることも明らかである。そこで、これらを踏まえ
① 「多様な経験・体験の機会の場を確保するという学校五日制の趣旨は今後も重要であり、
維持していく。その中で、学力向上に対する強い要望に応える方策を講じていく」
という、相反した内容を盛り込んだ詭弁で当面をしのごうとすると思うのだが、五日制見直しを望む声は保護者や団等幅広くから寄せられていることを踏まえてこの機に踏み込んだ答弁をすることも考えられる。
しかし、正面から学校週五日制の趣旨を否定することは憚られるだろうから、
② 「公立学校での確かな学力向上・私立学校との格差是正に対する強い要望に応えることが
求められていることへの対応を検討することが喫緊の課題であると認識しているが、これに
応えることが学校週五日制の趣旨を否定するということにはならないと考える。両者は別の
ものだ」
として、論点をズラすことが考えられる。
したがって、次の質問もこれらの2通りの答弁に応じて別に用意することになる。
まず、趣旨は維持するという場合だ。
学校週五日制の趣旨・目的を維持していくと言う決意は多とするが、そのための具体策は何か。
完全実施から20年が経過するが、経験や体験の機会は増えていない。決意や掛け声だけなら無意味だと言わざるを得ない。具体的に趣旨の維持のためにどのような方策を講じていくのか。
ついで、学力向上と学校週五日制の趣旨とは対立しないと言う場合だ。
まず、従来からの趣旨は維持・継続されるということなので、問1以下を問うことでそれが如何に形式的なものであるか、その場しのぎの答弁であるかを質すことも一つの方法であろうが、ここでは両者の関係を尋ねているので、次の問を尋ねることになろう。
学校週五日制と学力向上は別だ、との答弁だったが、繰り返しになるが、そもそも学校週五日制は「<ゆとり>の中で…様々な活動や経験をする機会を増やす」のを目的にしたものであり、詰め込み教育による学力向上よりも、ゆとりの中での経験を重視するという考えに基づいて実施されたものではなかったのか。
つまり、両者は別のものであって両立を目指すのではなく、ゆとりを目指す上で実施されたものであったはずだが、優先度が逆転したということか、それはいつからか。ここに文章を記載する
このように両者の関係の矛盾を明確に指摘した後に問7につなげることは論理的に無理がない。
他方、文科省としては保護者やマスコミ等からの学力向上・五日制見直しの強い声を無視するわけにはいかないため、矛盾を承知のうえで学校週五日制を実施する中で学力向上に努めるという答えをせざるを得ず、相手が根負けするまで【問B4】補足㋑を愚直に繰り返すことになるのではないか。
これは、実態の把握に伴う考え方の整理や必要な対策を一切講じることなく、その場しのぎの対応に終始してきた対応が招いた自業自得のような結果であって同情の余地はないが、その影響を最も受けるのは子どもたち及び教員である。そこで彼らの立場に立った確認・指摘をする必要がある。
学校週五日制見直しを求める声は強く、学校現場にも平日に行う活動のための時間の余裕が少なくなったので土曜日を活用することで、平日のゆとりを回復するとともに、子どもたちの学力も維持したい、との意向もあるようだ。
また、保護者の意向を民間(ベネッセ教育研究開発センターと朝日新聞社)が調べた結果によると、7割を超える層が土曜日に授業を行うことを希望しており、今まで通りの「完全学校週五日制」を支持する保護者はわずか17.9%だという。しかも回答した保護者、母親の職業は「専業主婦」「パートやフリー」「フルタイム」と多岐にわたっているのに、その回答に大きな差はなく、学校が子どもを預かってくれると言う都合で土曜授業を支持しているわけでもないようだ。
それらに応えることが強く求められているとの事情もあるのだろうが、五日制の趣旨の実現を図ることなく、それに反する対応である「学力向上策」を進めるのは余りに無責任ではないのか。
そこで、改めて問うが、学校週五日制の趣旨が活かされていない現状を踏まえつつ、その趣旨を維持して、そのための方策を講じることとするのか、現下の情勢を踏まえて新たな趣旨・目的を設定するのか。
趣旨・目的が蔑ろにされていながら、全国的な制度を廃止するのは非現実的であるとの理由から、漫然と五日制が実施されるのは看過できない。
本来、子ども達のためのものであったことに立ち返り、本来の趣旨・目的の下、それが効果を挙げるような対策を講ずるのか、現状を踏まえて制度を見直し、新たな趣旨・目的のもとで実施するとするのか、方針を明確にしなければ現場も混乱するだろう。
その意味でこの問は大きな意味を持つだろう。
学校週五日制についてこれまでの実態が趣旨と乖離しているにも関わらず、何の方策も講じずにいることは遺憾としか言いようがない。既に制度の趣旨と大きく乖離した実態が広まっていることを踏まえると、その趣旨や制度自体の見直しも不可避な状況にあるとは思うが、まずこのような事態を招いたこれまでの対応に反省を強く求めたい。そのうえで、見直しを行う際には教員の負担増にならないことと、何よりもそれが単に学力向上の手段ではなく、「子どものための教育上の施策」であるという基本を忘れないようにすることを望みたい。
これまでの一連の質疑は上記発言で一応終わることになるが、それで満足してはならない。
質疑を通じて明らかになった不作為等が本当に改められたのかをしっかり確認する必要があり、その意味で、上記質問は定期的に繰り返す必要がある。
甚だ残念だが、それが実態なのだ。

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