総論A:過去について

およそ全ての国の施策は税金が投入されて実施されるものである上、多くの国民がその影響を受けるものであることを踏まえて、
 ・ これまでの関連の取組がどのような成果を挙げているのか <過去>、
 ・ 現在、どのような課題が生じ、それに既存施策はどのような限界を抱えているのか/その課
  題の解消には新規施策がなぜ有効だと判断したのか、     <現在>、
 ・ 新たな施策によっていつまでに、どのような状態が達成されることを目指すのか 未来
という3つの視点を有機的に結び付けた検討の上に構築されるべきことは言うまでもない。

 ところが、「前書き」で記載した通り、教育政策は多くがデータ等の裏付けもなく、根拠に乏しいまま次々と立案・実施された挙句、その後の効果・成果の検証も行われずにいる。その一方で、それらには(現場が求めるものとは別の)莫大な国費・人材・時間が投入されている。
(文科省は、様々な取り組みを次々と打ち出しているのに、なぜいつまでも「政策官庁」と呼ばれないのかを不思議に思い、その原因を解明しようとしないのか。
 それを少しするだけで上記の点はすぐに気づくはずなのに、相変わらず従来の対応を続けているのは改善の必要性を考えていないという証拠であろう。これでは「三流官庁」からの脱却など夢であるとしか言えない。)

 このようなことがどれ程広く、繰り返されているかという実態を知るためには、様々な施策に対して同じ視点からの質問を投げてみれば良い。そこで総論では、そのような汎用性のある質問を並べてみる。これらの質問への答えが施策を問わずどれも同じであることを知れば、事態の深刻さを容易に理解することができるだろう。それがその後の行動への大きな契機となる。

***

A:過去について=既存施策の実績・成果と課題>

 教育は継続的な営みであるので、新規に導入される政策も既存の関連施策の延長上にあり、これを改善・延長したものが多い。ところが、実際にはどの新規施策も既存施策のどこを維持・継続し、どこを改善・廃止したのかは明らかでない。「継続性」の根拠が不明なのである。その一方で、単に「必要だから」「重要だから」「現状に問題があるから」という理由で導入・実施される。これでは新規施策が本当に必要なのか、有効なのかなど判断できない。

 こうした実態を質していく。

                  【問A1】
 現在、△△の問題がある(今後生じると予想される)ので、これを解消するために新たに◇◇施策を導入するという。そこで、この施策を新たに講じる必要性・有効性を考えるために、まずこれに関連するこれまでの施策について伺いたい。
 本◇◇策に関連する(類似の)施策としてこれまで(××年間)○○施策が行われてきたが、これは△△問題に対してどういう成果を上げ、どういう課題をもっていたのか。
(印象等ではなく、根拠となる客観的なデータ等を示してほしい。)

 新規施策が従来の施策とどのような関係にあるのかを確認するのが目的だが、その前提として従来の施策がどのような成果を上げてきたのかを確認する。

 本来は多くのヒト・モノ・カネを費やして実施してきた施策がどのような成果を上げて来たのか、どのような課題を抱えているのかを明らかにし、それらを踏まえて新施策の必要性が語られるべきだが、実際には関連してについて何も検証をしてきていないことがこの質問から明らかになるだろう。

 ただ、検証していないと正直には答えたくないだろうから、多くの場合、
  「自分が訪問した学校では・・という様子が見て取れた/・・という声を聞いた
と言った個別事例や個人的経験を語ったり、
  「・・という効果が上がったとの論文・報告書がある
といった根拠に乏しい検証結果を示したりしてお茶を濁そうとするだろう。

 そこで、次の【問A2】に移ることになる。
 なお、この質問では、新規の◇◇施策を質問対象とするうえで、関連する○○施策を知っていることを前提としているが、むしろ、後者を知らなくても問題はない(というより、その方が自然だろう)。

 その場合は、上述の通り、各施策は継続性・関連性があることを踏まえて、

【問A0】 
 ◇◇施策を新たに導入するとのことだが、教育は継続的な営みであることから、施策も過去の取り組みの延長上に行われるものが多いが、◇◇に関連する施策としてどのようなものがあるのか。

を問い、その後では【問A1】へつなげることになる。

 仮に、
  「◇◇は関連施策がない、全く新規の施策である
と回答・説明があった場合は

                【問A0-1
 ◇◇は単独に、新規に実施する施策だというが、なぜ、これが現下の△△という問題解消に有効だと言えるのか。その根拠は何か。

と問いてみるべきである。

 すると、【問A0-1】と【問A1】への答は類似のものとなる場合が多く、
  ① 「有識者による検討の結果である」 や
  ② 「〇〇で実証したところ、◇◇を実施した場合と実施しない場合とを比較すると前者で
   ましい結果が出ている
といった内容となるだろう。

そこで、このような答えが出た時には、それぞれ

                【問A2-①】
 過去、多くの施策が審議会や検討会等、有識者による審議を経て実施されてきたが、その多くが成果を上げずにいる(と報道されてもいる)のに、今回の施策がそれらとは違って成果を上げると言えるのはなぜか。

 

                  【問A2-②】
 実証結果として説明があった内容は、規模や範囲が限定的である上、「◇◇を実施すれば、実施する前より良くなったと判断できる」という程度に過ぎず、これでは「やらなかったよりはまし」というに等しい。
 これで科学的に有意な差を持つ結論と言えるものか。ここに文章を記載する

を指摘すれば良い。

 また、これらの質問への回答に具体的根拠・数値を求めることで、それ以上無駄な答えを用意しようとはしない(できない)だろう。

 他方、これまでも新たな施策が実施されることになった際、それが有効なものか否かを尋ねることはあったが、精々上記②のような、部分的な実証によって好ましい結果が得られているとの回答が得られただけであった。

 多くのヒトとカネを投入しているので、何も実施していないより良い結果が出るのは当然であるのに、その程度の回答に納得してしまっていたので、説明者側に甘えや惰性的な対応を許してきたのである。

 本来は、その差が統計的に有意なものか、投入した資源に見合うものかをこそ確認しなければならないのであって、今後は同様の質問をするにあたって客観的な根拠・論理的な説明を求めることを銘ずることが重要だ。

 さて、これまで示したわずかな質問からだけでも、教育政策において根拠・データが欠如したままであることは明らかとなるが、このような質疑を行った結果、先方から満足な答えが得られないことを理由に(ほとんどの場合がそうなるのだが)、「怪しからん」「問題だ」と非難を強めた挙句、説明・回答者を糾弾することがある。特に、「お役人」とされる「偉い」人が自分の質問に対する答えに窮する様子を目にすると、自分が彼らより優れているかのような錯覚に陥ってしまい、こうした対応を取りがちである。

 言うまでもなく、これらの言動は厳に慎まなければならない。彼らが回答困難や回答不能に陥ることは当初から想定していたことであり、一連の質問はあくまで、多くの専門家によって「問題あり」と明らかにされてきた教育政策を正しい方向に向かせるための契機・手段に過ぎない。従って、政策担当者自らの口で問題の所在・認識を明らかにさせることに主眼がある。満足な回答が得られないことが明らかになったならば「このような回答・説明しか得られないのは大変残念」と述べた後で、「是非、今までのやり方を見直し、今後は改善をお願いしたい」と伝えることが肝要だ。
ところが、同様の事態が未だに国政において実施されているようだ。社会的に問題とされた事例があると、真相究明を称して野党が各省庁の官僚を呼び出して、非難・罵倒の言葉を浴びせているのだ。背景に上記の意識・錯覚があるのは間違いないが、このようなことを続けていて、自分達が政権を取った時に果たして誰が行政・事務処理を行うと考えているのだろうか?政治主導を掲げながら、このような対応しか行えずにいる要因である政治の貧困・誤りをこそ正すべきなのに、これでは政策を決定していのは行政だ、政治(立法府)より行政が優位だと逆に認めているようなものではないのか。政権担当時代の失敗から何も学んでいないし、政権を取り戻す気などないとしか言えない。

 このように期待を述べることで相手は責任を感じることになる。よもやこれまでの対応(何もしていないこと)に問題があることを(実質的に)認めながら、それでも何もせずにいるということはあり得えないだろう。

 他方、これまでとは違う取り組みを本当に実行するかに懸念を抱くのも当然である。そこで、一度質問をした(回答を得た)だけで済まさず、ある程度の期間を置いて改めて同じ施策について、以前と同じ質問を繰り返したり、以前の質問からの対応・進捗状況を確認したりすることを忘れてはならない。

…長々と横道からそれてしまったようだ。

 元に戻って質問事項の整理を続けよう。

 【問A1】で新規施策に関連する既存施策の成果(過去)が明らかでないことが判明したことを踏まえて、次には現在の状況について尋ねることになる。

 なお、以上は新規施策との関連から関連施策の成果等を尋ねているが、その制約を外して現行施策の一つ一つについて、
 ・ 検証の有無、
 ・ 検証有の場合(稀だが)、その成果と課題の状況及びその結果を今後、どこに、どう反映す
  るのか
 ・ 検証無の場合、多額の経費や労力を費やしながら、その成果等を検証していないのは何故か
を問うことは重要であり、対応を願う次第だ。

 

 

コメント

タイトルとURLをコピーしました